平成26年 総会開催にあたって
木内 孝(サステナビリティ日本フォーラム 会長)
国としての将来方向を見極めるのに難航している現状の解決に努めましょう!
会員の皆さま
何を申し上げても唇が寂しいだけでなく、背筋も寒々とする今日この頃です。 教室の学生は「先生は何をガタガタ云っているの。私たちはハッピーなのよ」 と目の前で平然と言い放ち、明日の期末試験より今晩22時30分までのアイ スクリーム屋でのアルバイトで稼ぐ時給850円の方が大切と云いながらバス に飛び乗って行きます。 外から見ると活き活きとして、住民の皆さんは満足して暮らしているように 思えるシンガポールも、実際に住んでいる人に尋ねると「トンデモナイ、この 島では思ったことも云えない言論統制が厳しい息が詰まる処なのよ」との返事 が返って来ます。 私たちの日本はどうか。日本人は他国の人達と比べ決して引けを取らない。 居住する自然は素晴らしい。神武天皇以来2675年間続く歴史は比類を見な い。口にする食べ物は世界中で喜ばれている。精巧、緻密、複雑な技術で裏打 ちされたモノ造りは世界一流。私達の日本には少なくとも以上5ッの際立った 強みがあります。 よーし、これからのサステナ日本は、国としての将来方向を見極めるのに難 航している現状の解決に努めましょう。皆さん、「正直であれ!」をモットーに、 自らの原体験を出発点にしましょう。それは自分の五感にどう響くかを真摯に 感じ、反応することです。出発点は我々一人一人です。
プロフィール
木内 孝(きうち たかし)NPO法人・フューチャー500 理事長/株式会社イースクエア代表取締役会長
ドイツ・ハンブルグ生れ、慶応義塾大学経済学部卒業、カナダ・ブリティッシコロンビア大学大学院卒業。三菱電機海外業務部長、海外第一事業部長を歴任。三菱電機アメリカ社長及び会長、1993年取締役、1995年常務取締役。
アメリカの市民社会に積極的に貢献したことにより1992年に外務大臣賞、1995年に日米協会国際市民賞を受賞。1995年にコロラド州にてフューチャー500を設立。環境保護・資源保全・働く女性を応援する活動に積極的に参加。現在も国内及び海外で講演、ワーク・ショップ等数多くこなす。
後藤 敏彦(サステナビリティ日本フォーラム 代表理事)
レポーティングの大きな流れ
会員の皆様
昨年度の報告とともに新年度の活動につき様々な企画を立て皆さまにおはかりします。
さて、昨年は環境・CSR報告の世界では、GRIがG4を発行、国際統合報告協議会(IIRC)が初の統合報告フレームワークを公開、またEUが会計指令改訂提案で非財務情報の開示強化を打ち出すなど様々な動きがありました。あと数年すると、1990年前後に始まった環境・CSR報告の流れの大きなターニングになった年だったと回顧されるのではないかと感じています。というよりは、企業のCSR経営が大きく変わらねばその企業も社会も持続可能ではなくなることが、これから明白になっていくような感触をもっています。経営とマテリアルな環境・CSR項目とを統合させ、長期にわたる企業の方向性、ビジネスモデル等の開示が求められている、ということは企業のVision, Mission, Valuesそのものにかかわることでもあり経営トップの主体的取り組みが必須になります。これからのビジネスの主戦場は新興国・途上国であり、20世紀型のグローバリゼーションではなく21世紀・価値創造型への変換、すなわちイノベーションが必須です。今年はそのあたりを皆さまと議論していきたいと考えています。
プロフィール
後藤 敏彦(ごとう としひこ)サステナビリティ日本フォーラム代表理事
昭和39年東京大学法学部卒業。
サステナビリティ・コミュニケーションネットワーク代表幹事、社会的責任投資フォーラム最高顧問、グローバル・コンパクト・ジャパン・ネットワーク理事、環境監査研究会代表幹事、環境経営学会会長。
環境管理規格審議委員会EPE小委員会・14005国内委員会委員、環境レポート大賞審査委員会委員、JICA環境管理分野課題別支援委員会委員など。著書に「環境監査入門」(共著)ほか、講演多数。